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神戸地方裁判所 昭和39年(わ)188号 判決

本店所在地

兵庫県川西市小花字中川原五番地

昭和化学工業株式会社

右代表者代表取締役

松本増雄

本籍

和歌山市西浜一二四五番地

住居

大阪府豊中市本町六丁目一五三番地

会社役員

松本増雄

大正三年九月一日生

右の者等に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官山本達雄出席して審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社を判示第一、の事実につき罰金一六〇万円に、

同第二、の事実につき罰金一八〇万円に、

同第三、の事実につき罰金二〇〇万円に、

被告人松本増雄を懲役八月に各処する。

但し被告人松本増雄に対し、本裁判確定の日から二年間右刑

の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は兵庫県川西市小花字中川原五番地に本店を置き染料及び中間物の製造、加工、販売を営業目的とする株式会社であり、被告人松本増雄は右会社の代表取締役としてその業務の全般を統轄処理しているものであるが、被告人松本増雄は被告会社の業務に関し法人税を免れる目的をもつて、いずれも架空仕入れ及び仮装仕入を、計上し、これに対する支払名目で資金を簿外に蓄積するなどの方法により所得を秘匿し、

第一、昭和三五年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の課税標準となる実際所得金額は三、二七八万七六七〇円でこれに対する法人税額は一、二一八万五、〇四〇円であつたのに拘らず、同三六年二月二八日同県伊丹市伊丹字溝口所在伊丹税務署において同税務署長に対し、被告会社の右事業年度における前記の所得金額は一、〇六八万一、一五八円でこれに対する法人税額は三七八万四五七〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて詐偽その他の不正の行為により正当法人税額と申告法人税額の差額である法人税八四〇万四七〇円を逋脱し、

第二、同三六年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の課税標準となる実際所得金額は三、三二五万九二八一円でこれに対する法人税額は一、二一八万一、五七〇円であつたにも拘らず、同三七年二月二七日前記伊丹税務署において同税務署長に対し、被告会社の右事業年度における前記の所得金額は七八三万三、〇一九円でこれに対する法人税額は二四七万二八一〇円である旨虚構の確定申告書を提出し、もつて詐偽その他の不正の行為により正当法人税額と申告法人税額の差額である法人税九七〇万八七六〇円を逋脱し、

第三、同三七年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の課税標準となる実際所得金額は四、二〇二万六二九一円でこれに対する法人税額は一、五五九万二、四八〇円であつたのに拘らず、同三八年二月二六日前記伊丹税務署において同税務署長に対し、被告会社における右事業年度における前記の所得金額は一、三五三万四二円でこれに対する法人税額は四七六万四八五〇円である旨の虚偽確定の申告書を提出し、もつて詐偽その他不正の行為により正当法人税額と申告法人税額の差額である法人税一、〇八二万七六三〇円を逋脱し、

たものである。

(証拠の標目)

一、被告会社代表者兼被告人松本増雄の当公判延における供述

一、被告会社提出にかかる昭和三五年、同三六年、同三七年各事業年度の所得金額法人税額確定申告書(いずれも謄本、但し右三五年度及び三七年度の各申告書中申告法人税額の記載は計数上の誤記と認める)

一、証人河村一、同西田良平、同西住貞夫、同小林大哲の当公判延における各供述

一、武村弘、曾我正三、貝手倉博の取税官吏に対する各質問てん末書

一、長沖寿次の検察官に対する供述調書

一、取税官吏作成の協和銀行灘波支店、同今里支店、同明石支店、同三国支店、神戸銀行川西支店、同板宿支店、同尾崎支店、同三田支店、同阿部野支店、住友銀行池田支店、日本信託銀行浅草支店、同京都支店、大阪銀行船場支店、同西野田支店、同淡路町支店、商工中金和歌山支店に対する各調査報告書

一、日本信託大阪支店作成の確認書と題する書面

一、収税官吏作成の被告会社、被告人松本増雄方、神戸銀行川西支店、大阪銀行船場支店、協和銀行三国支店、同灘波支店、同明石支店、住友銀行池田支店、日東化学、渋谷誠方、武村弘方、松本保雄方、被告人松本増雄本人についてなした各現金預金有価証券等現在高検査てん末書

一、住友銀行池田支店ほか一〇銀行に対する大阪国税局のなした裏書照会の回答書綴

一、日本信託銀行浅草支店ほか一〇五銀行に対する大阪国税局のなした取立口座照会の回答書綴

一、西田良平及び河村一の検察官に対する各供述調書に添付された収税官吏作成の日東化学等に対する架空仕入明細、仕入状況取立状況明細表

一、収税官吏作成の脱税額計算書三通

一、被告人松本増雄の取税官吏に対する全費同てん末書

一、被告人松本増雄の検察官に対する全供述調書

一、押取してある被告会社の手形受払帳四冊(昭和三四年から同三七年度まで、順次証一号ないし四号)、同会社の買掛元帳(昭和三四年度及び同三五年度各一冊、同三六年度二綴、同三七年度三綴、順次証五号ないし八号)、登記済権利証一綴(証九号)日東化学(株)の手形受払帳四冊(昭和三四年度から同三七年度まで、順次証第一〇号ないし一三号)、同会社の仕入帳(昭和三四年度から同三六年度まで、順次証第一四号ないし一七号)

(法令の適用)

被告会社に対し

法人税法五一条一項、四八条一項(判示第一、第二、の事実については昭和三七年法律第四五号附則二項、一一号、右改正法律前の法人税法五二条を適用)

被告人松本増雄に対し

法人税法四八条一項(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文一〇条(判示第三の罪の刑に加重)二五条一項

(裁判官 山田敬二郎)

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